──────柑奈は
あの日、俺と金田がキスしたのを見て
その場から…黙って立ち去った。
そして俺との距離をあけて
大学のことも何も言わずに…
俺の前から───姿を消したのか。
(……っ………違う。)
…柑奈が……言わなかったんじゃない。
───俺が、言わせなかったんだ。
俺がちゃんと……してねぇから……っ
だから柑奈は……俺に言えなかったんだ…っ。
「……っ………!!」
───俺はそう自覚した途端
体の力が入らなくなって、
そのまま その場にしゃがみ込んだ。
──────今朝見た女は、柑奈だ。
長かった髪を短く切って
俺の前から姿を消した─────
(あれは……柑奈だったんだ……っ!!)
───俺はそう思うと同時に
体が小さく震えだして
静かに流れる涙を
目元ごと、手で押さえながら
その場に…へたり込む。
──────傷つけた。
俺は柑奈を傷つけて、
言葉を押し込めさせて、
黙って……この街を出るように差し向けたんだ。
(っ、全部──────)
──────全部、俺のせいだ。

