「…そっかぁ、行っちゃうんだ。」
「…うん。」
「…そしたらもう、こうやって偶然会うこともこれが最後なのかなぁ…。」
「そんな…大丈夫だよ。
たまにはこっちに帰ってくるし。」
それに会おうと思ったら
いつでも会えるよ、と
私が要くんに言うと
要くんは少し寂しそうな目をしながらも
「そうだね」と言いながら
小さく笑う。
「いつ行くか決まったら、教えてね。
絶対見送り行くから。」
「うん、ありがとう。」
私が要くんの言葉にそう言って
コクッと頷くと
要くんはいつもの優しい笑顔で
同じように頷く。
────要くんは、いつも優しい。
私がこうして地方に行くと言ったら
寂しそうな顔をしてくれる。
私が無理しているとわかったら
いつも、そばに居てくれる。
私が泣いていたときは
優しく抱き締めてくれた。
……要くんは
やっぱり私の ヒーローだ。
「いつか皆でこっちに遊びに来てね。泊まらせるし。」
「うん。
北澤が帰ってきた時も、こっちで集まって ご飯でも行こう。」
私たちはそう約束をして
そしていつの間にか
最後の───塾までの道が
そこで終わった。

