「……ねぇカナ。」

「ん?」

「…私、地方 行こうかな。」












───そして






ふと私がカナにそう言うと



カナは今まで笑っていた顔を
真剣な表情に変えて





私のことを…ジッと見つめた。






…そして、静かに尋ねてくる。










「……それは、あの人が理由で?」

「え?」

「あの人を忘れるために、行こうとしてるの?」









カナは


今まで出してくることのなかった
その話題を



ここで初めて私に出して




そして真剣に…そう聞いてきた。








私の顔を覗き込むように見上げるカナは





どこか心配そうに

私を見つめていて───










「……分からない。」

「………。」

「でも、たとえそれがきっかけでも
この選択は…多分間違ってない気がするの。」









先生があの大学を私に勧めてくれた理由も


ちゃんと、私だってわかってる。









あの大学は私の夢で








たとえそれが地方だとしても






行く理由がこんな理由としても───








きっと後悔させるような

そんな大学では…ない。