…親とはまだ話し合い中で
手続き締め切りまでは
まだ、あと少しあった。
でも地方に行くとなれば
寮に住むのか1人暮らしをするのか…
それも全て、決めなくてはいけない。
「…まだ、親と話し合い中か。」
「……はい…。」
私が先生にそう言って
視線を下に下げると
先生は ふぅ…と小さく息を吐きながら
そんな私の様子を見ていた。
「…何でそんなに迷うんだ?」
「…え…。」
「確かに離れるのは寂しいかもしれないが、
大学生になったらバイトだってできる。
会おうと思えば友達とはいつでも会えるんだぞ?」
別に海外に行くわけでもないし───と
先生は机に顎肘をつきながら
私にそう告げる。
……確かに、その通りだ。
(会おうと思えば…皆には会える。)
大学生は 高校の時と違って
長期休みだって 期間が延びる。
バイトだってできる。
そのお金で、親や友達に会うことだって
もちろん可能だ。
─────なのに
(……何で私は…こんなに迷ってるんだろう…。)
─────もう答えは
はっきり 見えているというのに。