「───おいで。」
私の目を塞ぐ手とは反対の腕で
要くんが私の肩に優しく手をまわすと
私の体の向きを変えて
そのまま 人混みの中を歩き出す。
───そして
その場から離れていくと共に
視界を塞ぐ手が外されると
───視界に映る白い雪が
静かにぼやけて
すぐに…見えなくなった。
「っ……、…ぁ……っ。」
───途端に
何だか我慢が出来なくなって
ボロボロと───涙が溢れ出す。
たくさんの人が行き交う中
私の手を優しく包んで引っ張る要くんの背中すら
私にはよく見えなくて
ただひたすらに 嗚咽を漏らした。
───もし、彼が一緒にいなかったら
私はあの場に立ち尽くして
一体どうなっていたんだろうか。
あの光景の先に何を見て
何を告げられていたんだろうか。
それを考えるだけで
恐ろしく…体が震える。
白い雪の中
人々の間をすり抜けていくように
私たちはただ、流れに逆らって歩き続けた。
─────最悪な ホワイトクリスマスだ。

