「……要くん?」
「…ん?」
私が不意に彼の名前を呼ぶと
要くんは優しく口角を上げたまま
私に視線を向けて
小さく 首を傾げる。
「何か…元気ない?」
「………。」
私がそう尋ねると
要くんは一瞬目を丸くして 私を見た。
そしてそれから
少し考えるように視線を逸らして
…静かに 私に尋ねる。
「…あのさ」
「うん?」
「……あの時、偶然…聞いちゃったんだけど……」
そう言いながら
何だか言いづらそうに
口を開く要くん。
私はその様子を見ながら
彼の言葉を 静かに待つ。
「………?」
「……北澤、地方行くの?」
(……!!)
そう言って
私へ静かに視線を向ける要くんに
私は思わず驚き
目を丸くしてら彼を見つめ返した。
……何で、要くんがそれを……?
(………あ…っ!)
面談室の前で鉢合わせた
あの時───?
何だかあの時も
要くんは驚いた顔をしながら
慌てていた気がする。
……あの時に、聞いて……?

