「そういえばさ。」
「?」
「今日のデートの相手は、あのお兄さんであってるんだよね?」
電車に乗りながら
要くんが私にそう尋ねてきて
私は思わず 顔をボッ!と赤くする。
や、いや、間違ってない…ですけど……
(何か改めて言われると、恥ずかしい…っ。)
私がそう思いながら
あわあわと慌てていると
それを肯定と見た要くんが
声を抑えてクスクス笑いながら
私を見た。
「顔真っ赤だよ北澤。」
「っ、やめてよ……!」
「あはは、本当正直者。」
ごめんごめん、と
私の頭をわしゃわしゃと撫でる。
笑いながら頭を撫でて
ごめんごめん、と謝ってくるのは
私をからかうのが好きな要くんの癖。
頭を撫でる癖が勇さんと同じで
わしゃわしゃと撫でられながら
勇さんを思い出してしまう自分がら少し恥ずかしい。
「…仲直りできたんだね。」
「え?」
「ほら、前にお店から出てきた北澤…泣いてたから。」
(あ────)
私は要くんのその言葉を聞いて
少しハッとした。
……そうだ、あの時要くんに会って…
(私のこと、慰めてくれたんだよね…。)
私はそれを思い出して
改めて要くんの方に向き直って
お礼を言う。
「あの時はありがとう。
ちゃんと…仲直りできました。」
「なら良かった。
…どういたしまして。」
私の言葉に
優しい笑顔でそう答える要くん。
───でも何となく
その時の要くんの表情は
少しだけ 元気がなかった。

