仲通りに近づくにつれて
人混みが激しくなる。
皆このツリー目当てで来てるのか
それとも仲通りの店目当てで来てるのか…
あまりの人の多さに
そんな余計なことまで考え始めてしまう。
うまく人混みをすり抜けながら
どうにか、ツリーの前へ到着した。
…この人混みで、あいつを見つけられるかどうかが心配だな。
(ったく、店長の言葉足らずめ……
…まぁ、今更仕方ねェか……。)
悩んでたところに便乗した俺も俺だ、と思い直して
俺は近くの時計台を見上げながら
柑奈の到着を待つ。
───まだ時刻は6時半過ぎ。
早くても多分あいつが来るまで
まだ10分以上はあるだろう。
(レストランは…よし、ちゃんと予約できてる。
その時間までここら辺ぶらついてりゃ…まぁ平気か。)
人混みでどんな店があるのかよくは見えないが
多分適当に見て回ってるうちに
すぐに時間は過ぎる。
心配事はもう特にないか、と
俺はその場で小さく息を吐いた。
───白い息が 少し顔にかかる。

