待ち合わせ場所のことを考えながら
俺は家まで帰ってくると
下で店長に鉢合わせて
「お、勇!」と声を掛けられた。
俺はそれに会釈しながら
店の前まで 足を進める。
「何だその紙袋。随分可愛いの持ってんな。」
「あぁ、はい……。」
「ははーん、さてはアレだな?柑奈ちゃんへのクリスマスプレゼントだろ?」
へぇー?なんて
俺にそう言いながら
面白そうにニヤニヤする店長。
───ここ最近、店長は俺にクリスマスいじりをするのがお気に入りだ。
俺の反応が面白いのか
柑奈の名前を出しては
よく からかってくる。
「まぁ……そうっす。」
「ほーう、気合い入ってんなぁ。
これ渡してさっさと告っちまえよ。」
「っ……放っといてください。」
店長の言葉に
俺がそう返すと、
店長はケラケラ笑いながら
楽しそうに俺の背中をバンバン叩く。
そして何故か叩きながら
「頑張れ頑張れ!」と応援の言葉を投げかけてきた。
……何で励まされてんだろ。
「店長、いじりすぎっす。
何とかハラスメントで訴えますよ。」
「うぉー、怖っ!悪い悪い!
お前らが可愛くてついな!」
「……可愛いって…。」
───何が可愛いんだよ、と
俺は内心店長の言葉がよく分からなかったが
これ以上変にいじられるのも嫌で
何も言わずスルーする。
「そーいやお前らどこ行くんだ?
待ち合わせ場所とか決めてんの?」
「いや、まだ何も。」
「まだ決まってねぇのか。
…あ、そうだあそこにすれば?」
すると不意に
店長から
ちょうど悩んでいたことを聞かれて
俺はハッとした。
こんなことして場合じゃない
早く決めねぇと───、と
俺が思っていると
店長が閃いたように声を上げて
俺に、提案してくる。

