「あ、もしかして彼氏さんにプレゼントっすか?」
「え?あ、いや…そういうわけじゃないんですけど……ぷ、プレゼント考えてて…。」
視線を下に向けながら
店員さんの顔を見ずに
モゴモゴとそう私が言うと
店員さんはそれを気にすることなく
「そうなんですねーっ。」と明るいトーンで言って
トコトコとすぐ近くの商品まで歩いて行った。
そして何かを持ってくると
それを、私の前に 差し出す。
「これとかどうっすか?
値段も今安くしてあって、イチオシなんすよ。」
「へ、へぇ…そうなんですか…。」
「シンプルでいてクールだし、
サイズも豊富なんでオススメです。」
そう言われて
私がお兄さんの方をチラッと見上げると
その手に持ってあったのは───
「黒の ニット………。」
「はい。Vネックで大人っぽいし
これ1枚でも全然アリなんで 使いやすいと思いますよ。」
「………。」
確かに
そう手渡されたニットは
お兄さんの言う通り
黒ベースのシンプルなデザインで
冬にも着れるし
秋ならこれ1枚でも十分かっこいい。
それに勇さんの好きなモノクロカラーでもあるし
シンプル好きな彼にピッタリだと思った。
ここにきて、まさか本当に素晴らしいものに出会った気がする。
「あ、あの。」
「はい?」
「こんな感じの物って、他にもあったりしますか……?
こういう系統が、好きな人なので……。」
私が店員さんにそう言うと
そのお兄さんはニコッと笑って
「かしこまりました!」と私に言い
店内を案内してくれた。
───そして無事に
私はこのお店で
勇さんへのプレゼントを購入することができた。
私はホッとしながらその商品を持って
お店を出る。
(勇さん、喜んでくれるかな…。)
私はそう思いながら
その紙袋を見て
少し明るい気分で
その日はそのまま 家に帰った───。

