愛理さんに連れられて
女子トイレへやって来ると
言っていた通り
愛理さんは化粧直しを始めて
私はそれを横で眺めながら
何を話すのかと
愛理さんの言葉を待つ。
そして化粧直しが始まって少しすると
愛理さんが、口を開いた。
「柑奈ちゃん高3?なんよね。
まだティーンかぁ、若いなぁ。」
「そんなことないですよ。
…えっと…愛理さんは、勇さんと同い年なんですか?」
「せやで。そんで同じ大学の友達や。」
もう20歳迎えてしまったんよー、と
残念そうな声を上げながら
笑う愛理さん。
私がそれに「それなら何でもできて良いですね。」と返すと
「まぁなぁ。」と
更にケラケラと笑う。
「そういえば…愛理さんは関西出身なんですか?」
「せやで。
関西から彼氏と大学こっち来たんよ。」
「!」
私がそう質問すると
愛理さんはサラッとそう言って
チークをポンポンっと、頬にのせた。
私はそれを聞いて
思わず目を丸くする。
え……彼氏……?
「彼氏さん いるんですか?」
「…あー、いや。"そん時"は、や。
その人とは……先月別れた。」
愛理さんはそう答えて
苦笑いを浮かべた。
私はそれを聞いて
「あ…っ。」と声を漏らす。
先月って…結構最近……
(聞くんじゃなかった……っ。)
申し訳ないと感じながら
私がそう思っていると
それを察した愛理さんが
「へーきへーき!」と
明るく笑いながら 私に言う。
「もう新しく好きな人できてん。
心配いらんで。」
「……え?」
軽いトーンでそう言われて
私は一瞬ポカンとするも
思わず愛理さんをまっすぐ見て
そう 声が漏れた。
愛理さんは私のそんな声を聞きながら
視線をチラッと私に向けて
ゆるく口角を上げると
視線を鏡に戻すと同時に
グロスを 唇に優しく乗せる。
「……進藤くんが好きやねん、私。」
(……………っ……!)
そして
そう言った愛理さんの声が
静かに───トイレ内に響いた。

