「…ふっ、あははっ!
ひいっ!て……くくっ!」
「ちょ…!要くん!からかったの?!」
「ははっ、ごめんごめん。
北澤なら信じるかと思って、つい…くくっ。」
要くんはそう謝りながらも笑っていて
私はそんな要くんに
ムスッ、と拗ねた視線を送る。
「要くん笑いすぎ!」
「あはは、ごめん。
もうしないから機嫌直して、北澤?」
要くんはそう言いながら
私の頭をポンポンと撫でる。
私はそんな要くんの行動に
不意に、ドキッと鼓動をならせた。
そして
ずっと声も聞いていない
『彼』のことを 思い出す。
…今の、勇さんの癖と同じだ………。
(……もう会わなくなって、1ヶ月以上経つんだなぁ……。
…勇さん …元気かなぁ……。)
そしてふとそんなことを考えて
黙り込んでしまう。
……声も聞いていないし、姿も見ていない。
連絡も取っていないし
もちろん『あの事』に関しても
まだ何も、進展はなくて─────
塾が終わった後のこの時間は少し遅いし
バイトで疲れてる勇さんに
わざわざメールを送るのも、気が引ける。
……だから、今日も連絡をしない。
「……北澤?」
「!」
そんなことを考え中ながら
ボーッと前を歩いていれば
不意に要くんが
私の顔を覗き込んできた。
私はそれに驚きながらも
「は、はい!」と返事をする。
「急に黙ったから……
もしかして、そんなに怖かった…?」
「あ…ううん!
大丈夫、もう気にしてないよ!」
私の様子を見て
心配したように眉を下げる要くんに
私は慌てて そう返した。
その言葉を聞いて
要くんは安心したように
「なら良かった」と言って
私へ優しい笑みを向ける。

