「………あれ…?」
「…?」
「あの……もしかして、進藤くん?」
すると急に
俺の顔をジッと見ながら
そう尋ねてきて
俺はその言葉に ピクッと、眉を動かし
女の方を見る。
そして少し黙ってから
女の言葉に、返事を返した。
「……そうですけど。」
「!やっぱり…!
私、同じ大学の同じゼミ取ってる金田愛理(かねだ あいり)言うんやけど…分かる?」
「…え。」
(─────同じ大学で、同じゼミ?)
俺は思いもよらない言葉に
内心少し驚く。
……こんな女、いたっけ。
俺はそんなことを考えながら
正直に、首を横に振った。
この人には悪いが、
大学の女子は大抵名前も顔も知らないし、覚えていない。
「…覚えてなくて悪い。」
「あ、いや何かこっちこそごめんなっ。
変に馴れ馴れしくしてしもうて…。」
顔と名前知っとったから、つい…。と
女は再びシュンと視線を下に向けて、小さく笑う。
俺は
そんなこいつの表情を見て
ほんの軽い気持ちで
気づけばそいつに…声をかけていた。
「……大丈夫?あんた。」
「…え?」
「声、鼻声だけど。」
───本当にただ、疑問に思っただけで
そこまで深く聞く気も
何かあれば力に…とか、
そんな考えもさらさら頭に無かった。
だけど
俺がそう尋ねて目を合わせていたら
不意に───
そいつの目から、ポロッと 涙が出た。
(────っ、え。)
俺はそんな目の前の女を見て
再びギョッとする。
………え…
俺が、泣かした?

