好きって言ったら、どうする?

▼勇side▼









───気づけばもう、8月。









とっくに学生は夏休みの期間に入り


俺はほとんど毎日、早い時間から
バイトに入っていた。









…柑奈とは、あれからまだ会ってない。









あいつも夏休みに入ってはいるんだろうが


高校3年の夏は、休みがない。





多分毎日 塾に籠っているんだろうと思う。









(……最低でも週に1回は来てたあいつが来なくなるって、何か変な感じだな。)







俺はそう思いながら


客の入っていない店内で
1人ボーッと前を見つめる。








───1回くらい会えるだろうという考えが、甘かった。








結局あの日のことを話す暇はなく
夏休みに突入して



こうして日々が 過ぎて行っている。








───まだ、気持ちを伝えてすらいないのに。







……このまま、1ヶ月半会えないままなんだろうか。










(……でも勉強してる奴に、こっちから邪魔するように連絡すんのもな…。)








それはそれで、気がひける。







…なんて




そんなことを考えながら
俺が黙って皿を洗っていれば





不意に

店長が事務室から俺に呼びかけた。











「勇ー!悪ィんだけどちょっと出前行ってきてくれー!料理はもう出来てっからー!」

「あ、分かりました。」










そう返事をすると




俺は店長に言われた通り

そばに用意されたすでに出来上がっている料理を持って
裏口から店を出る。







…こんな暑い夏の日の昼間に、ラーメンの出前なんて珍しい。





まだチャーハンやら餃子ならまだしも、


熱々のラーメンを夏に食べたがる人は、
当たり前だが少ない。










(……あっつ……、溶けそ……。)









俺は外に出てバイクに跨りながら

空を見上げて、すでにうんざり。








……こんな時にラーメン食うとか、食欲旺盛かよ。