好きって言ったら、どうする?








そんな

少し沈む気持ちになりながら
夏休みの間のことを考えていると





エレベーターの扉が、静かに開いた。












「…あー!また要が北澤さんと一緒に来たー!」

「本当だ〜!」










そして教室に到着すると

またこの前と同じく、周りの子達の視線がこちらに集まる。









要くんの人気者ぶりは相変わらず。









私は皆んなの会話の邪魔にならないように
自席に向かって 歩き出そうとした。







…しかし










「2人って家も近いし地元一緒だしさー、割と共通点多いよなー。」

「そういえば北澤さんって西中なんだよね??」











そんな時に



この前はあんまり関わることのなかった他校生たちが、


要くんが話したのか

私の中学の話題を持って、私に話しかけてきた。








私は少し驚きながら 彼らに返事をする。











「うん。そうだよ。」

「えー!北澤って西中出身なんだ!
俺の弟も西中行ってたわー。」

「私の彼氏も西中出身なんだよね〜!」

「ねぇねぇ、西中の話聞かしてよ。」

「!」










(あ…意外と皆地元近かったんだ…。)










私はこれまで塾に通ってきて
初めて知った事実に少し驚きながら


彼らの言葉に小さく頷くと




それまで様子を伺っていた要くんが

優しくクスッと、私に笑みを向けた。











「本当はね、皆北澤と前から話したがってたんだ。」

「え?」

「でも北澤って意外と人見知りだから
話しかけたら怖がるかなとか、結構皆考えてたんだよ。」










ね?、と




要くんは
私に話しかけてくれたみんなに向かって

そう確認すると




彼らは何だか恥ずかしそうに笑いながら
「お前それ秘密にしとけよー!」と

ケラケラ笑い声をあげた。









(そ、そうだったんだ……。)









そう思われていた事実に

私は何だか嬉しくて、照れそうになる。







そんな私を見ながら

要くんは優しく微笑んでくれた。











「ってことで今度からは皆が北澤に遠慮なく話しかけてくるけど、よろしくね。」

「あ、こ!こちらこそ…!」










私がペコペコみんなに頭をさげると


彼らは笑いながら
「頭下げすぎー!」と声を上げる。





私もそれに笑いながら

夏休み頑張ろうね、と声をかけた。










(勇さんに会えなくても…
会えない間こそ、頑張らなきゃ。)










私はそう気持ちを切り替えて

みんなと一緒に、授業に臨む。













───こうして私の


受験生の夏が、始まった。