───そして次の日の朝
(……ん…。)
私は、携帯のアラームより少し先に
何かを炒める音で 目を覚ました。
意識がはっきりしてくると
次は美味しそうな匂いに気がついて
私は静かに、体を起こす。
そしてその時
キッチンに立つ人物と 目が合った。
「…なんだ、起きんの早いな。」
「……おはよう、ございます…。」
弱々しい声で 朝の挨拶をする。
そしてそれと同時に
再び 彼に対して複雑な気持ちが生まれた。
───またも、してやられた。
私はすぐにそう思った。
私に起きるの早いと言いながら
私よりも早く起きて、彼は朝ごはんを作っていたのだ。
私はボサボサの髪を手ぐしで直しながら
未だにショボショボする目を
片手で擦る。
(…何から何まで本当に申し訳ない…。)
そう思う反面
でも、ありがたいと思う私。
私はゆっくりとベッドから立ち上がって
顔を洗いに、洗面所へ向かった。

