「ほらほら〜、カナ様に何でも話してごらん〜?」

「うっ……な、何でもないの!」

「本当かなぁ〜?」










ニヤニヤと

顔を赤くした私に迫ってくるカナに


私は必死に顔を背けて
否定し続ける。








───こ、これだけは言えない…!










(き、昨日は勇さん熱出てたし!
きっと昨日のことなんて覚えてないだろうし!
私も早く忘れるのが1番なの…!!)










だから誰にも言わない!





私は心の中でそう言い聞かせながら
カナに向かって頭をブンブン振った。










「何?何か進展でもあったの?」

「っ…な、ないよ!」

「えー?
嘘はいけないよ柑奈ちゃ〜ん。」











しかし


カナはそんなことでは引かない。





カナは私に畳み掛けるように
質問を繰り返し

ニヤニヤとした笑みも、浮かべたままだ。







私の顔を覗き込んでは



「ほら言っちゃいなよ〜。」とか

「言ったら楽になるよ〜?」とか



まるでドラマで見る取調室の警官のような台詞を、私に向けてくる。








い…言わないったら言わないもん!










「ほ、本当に何でもない!」

「ふーん?
じゃあ何で顔が赤いのかなぁ〜?」

「っ…こ、これはその……
た、代謝が良いだけなの!」

「ほ〜う。頑なですなぁ。
ま、ならいつかまた聞こうっと。」










私が口を割らないと思ったカナは

そう言って諦めて
机に顎肘をつく。











(あ、危なかった───!)









問いただされるかと思った、と




私は内心ヒヤヒヤしていた胸を
ホッとなでおろした。