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「それで聞いてよ、そしたらその後の展開がさ!本当に信じられなくて!!」

「………。」

「何か修羅場みたいになっちゃってさ!
それでそんな時に張本人来ちゃって---」

「………。」

「それでね……ってちょっと!柑奈聞いてる?!」

「…え?」











(──────あ。)










私はカナの
そんな怒ったような声にハッとして

意識を現実に持ってくる。






そして目の前のカナを見上げると


眉間にシワを寄せながら、
私を鋭く見つめる瞳と、目が合った。











「さっきから上の空でしょ!!
私の話聞いてた?!」

「あ、うっ…ご、ごめん…!」










怒るカナに慌ててそう言って謝ると、


カナは「もう…。」と
頬を膨らませながら拗ねる。









決して、カナの話に興味がないとか
つまらないとかはない。










──────全ては"あれ"のせいだった。











(…………夢……じゃないよね……?)










あれから家に帰っても

ずっとそんなことを考えて
寝付けずにいた。






頭がホワホワして

ぼーっとする。








そして、

かれこれ今日で1週間が経ったが…









─────頭に焼き付いて、離れない。










「………ねぇ。」

「うん……?」

「顔、赤いけど。」










(───?!)










そんな ぼんやりしている時に


カナから不意打ちで、
そんなことを言われる。







私は 分かりやすく動揺して

慌ててそれを否定した。











「え、えぇ?!
か、顔 赤…っ!? な、ないないない!」

「……いや、赤くなってるから言ってるんじゃん。」

「っ…あ、暑いのかな…!あはは…!!」

「………。」










(そ、そんな顔で見ないでカナ───!)









カナは


苦しい誤魔化し方をする私を冷静に、


『なわけあるか。』とでも
言いたそうな顔で私を見つめてくる。








……我ながら、嘘が下手すぎました。











「…正直に言いなさい?」

「っ……な、何を……。」

「どうせ、お兄さん関連でしょ。」

「?!?」










カナの冷静な声色と
『お兄さん』という単語に


またしても分かりやすく反応する、私。









カナは私のそんな反応を見て

フッ、と鼻で笑った。










───カナの前では、嘘がつけません。