「…勇さん……?」
「ん……。」
「…何だか今日の勇さん…
甘えん坊ですね……。」
「……お前が最初に言ったんだろ。」
頬に触れる 勇さんの手の熱を感じながら
2人で見つめ合って、そんな会話をする。
───鼓動の高鳴りを止めるのなんて、もう無理だった。
勇さんは
私の頬を優しく撫でながら
熱に侵された瞳を こちらに向けている。
その視線に込められている彼の意図は
私には、読めない───。
「………なぁ。」
「はい…?」
「………お前って、あいつのことどう思ってんの?」
すると突然
勇さんは
触れていた私の頬から手を離すと
唐突に、そんな質問をしてきた。
"あいつ"──────?
「あいつ、って……??」
「……あの、塾の友達。」
(──────!)
勇さんの言葉に
私はすぐに要くんのことだと気付いて
思わず目を見開いた。
何で…要くん……?
そう不思議に思ったけれど、
私はカナの言葉を思い出して
すぐに、ハッとする。
『それ"嫉妬"だから!
絶対"やきもち"だから!!』
(っ……え………??)
何で今、カナのあの言葉を……っ。
私はそう思いながらも
何となくこの状況での
勇さんのこの質問に
カナの言葉が重なるような気がして
ドクンドクンと、鼓動を鳴らす───。
──────嫉妬なんて、まさか。
「………おい。」
「っ、あ…。」
「…どうなんだよ。」
そんなことを考えていると
黙っている私へ
答えを急かすように
勇さんが 再度尋ねてくる。
私はハッとして
その質問に正直に答えた。
「要くんとは普通に友達で…。」
「……好きなのか?」
「…え?」
勇さんの言葉に
私は驚いて目を見開き
目の前の彼を見ると───
勇さんは
真剣な眼差しで
私を真っ直ぐに……捉えていた。
「…好きなのか、あいつのこと。」
そして再度
そう尋ねる勇さんの声が
部屋に静かに響いた。

