「…まだ……行くなよ。」
「っ………え…。」
「もう少しだけ……いて欲しい。」
勇さんはそう言って
熱を持った手で私の腕を掴んで
離そうとしなかった。
そんな彼の仕草に
私は鼓動を ドクンドクンと鳴らせる。
(……っ……勇さん……?)
いつもなら
こんな風に、弱々しい視線を向けて
引き止めたりしないのに…
何だか今日の勇さんは
やっぱり、いつもの彼ではなかった。
そんな彼の姿に
私は思わず、ドクンドクンッ───と
鼓動を高鳴らせる。
───これは熱のせい。
熱のせいで勇さん
人が恋しくなってるだけなんだよね、きっと…。
私は自分にそう言い聞かせながら
勇さんの側に戻って
また 先ほどと同じようにその場に屈んだ。
それと同時に
勇さんの腕が離れる。
そしてその手が
私の頬へ…優しく触れた。
(っ……。)
その手が───熱い。

