「あ…あの、もう7時も過ぎてるので今日は帰りますね。」
「………。」
「あ、でもその前に夕飯食べますか?
きっと店長さん用意してると思いますけど…。」
私は気持ちを切り替えて
勇さんにそう尋ねる。
多分店長さんのことなので
勇さんの夕飯のことは
きっと考えてあるんだろうと思う。
勇さんの食欲があるなら
それを持ってきてから
帰ろうかと思ったけど……
「どうですか?食べれそうですか?」
「………いや、いらねェ。」
私がそう尋ねると
勇さんはゆっくりと体を起こしながら
そう言って
無造作に髪の毛をかき上げた。
少しずつ 意識が起き始めてきたみたい。
「……もう7時半…か。」
「あ…はい。
すみません、長居しちゃって…っ。」
時計を見上げながらそう呟く勇さんに
私は慌てて頭を下げて
置いていた荷物を肩に持ち上げる。
お邪魔になる前に帰らなきゃ…
「じゃああの……私帰りますねっ。」
「……!」
「えっとあの…お邪魔しました!
勇さん、お大事に。」
そう言って
忘れ物がないことを確認して
身支度を整える。
今日はもう安静にして
薬を飲んで寝れば、きっと明日には今日よりも楽になっているはず。
「無理せずに、今日は絶対安静ですからね?」
絶対ですよ、と
私が勇さんの方に振り返って
そう念押しすると
私は勇さんの側から離れ
玄関に向かおうと足を踏み出した。
──────その時だった。
「────行くな。」
「!」
そう言った
勇さんの声が聞こえると同時に
パシッ───と
突然、腕を取られる。
──────グイッ!
(っ、え……?)
そして
歩き出す直前に
腕を後ろに引かれて
思わず、動きを止められる。
「っ、え……。」
少し驚いて
思わず勇さんの方へ振り返ると───
「………!」
勇さんの
熱っぽい───
真っ直ぐに私を捉える視線と
静かに……目が合った。

