「お前、先風呂入れ。」
「え…いや、そんなの悪いです。」
「いいから入れ。
その間に寝る準備する。」
だからさっさと行ってこい、と
少し乱暴な言い方をするものの
彼なりの優しい親切心を感じられて
私は小さく頷いた。
何だか申し訳ない感じ…
人の家だから、当たり前だけど。
私は自分の荷物から着替えを取り出して
お兄さんに案内された脱衣所に入る。
そして彼の言う通りに
先にお風呂に入らせてもらった。
お風呂で体を洗いながら
私は お兄さんのことを考える。
(知り合いでもない女の子に
どうしてここまで親切なんだろう…。)
それに、世話の焼き方がやけに兄らしいというか
面倒見がいい感じがする。
夕飯も、寝床も作ってくれて
お風呂先に入れさせてくれてお客さん扱いもしてくれる…
(もしかして本当に
妹とかいたりするのかな……?)
それなら、納得なんだけど…。
それでも
こんなに優しい人って世の中いるんだなぁ、なんて
私は思わず少し感動してしまった。

