(─────!)
そして私は、
その『何か』の正体をすぐに察する。
……これ………勇さんの、腕……っ?
私はそれに気づくと
目の前の勇さんに小さく声をかける。
「勇さんあの……
腕、もう大丈夫なので…っ。」
「………。」
しかし
そう声をかけるも、
目の前の勇さんは 私を見つめたまま
動こうとしない。
私はそれを不思議に思って
「勇さん…?」と再び名前を呼ぶも
彼は何も反応せずに
ジッと───私を見上げるばかり。
「………。」
そしてそのまま
黙っている勇さんの手が
私の腰に回ったまま、
未だ、そこから離れる気配がない。
それどころか
少しだけ力を込められた気がして
私は…息を飲んだ。
(っ…………勇、さん…?)
「……あ、あの……?」
「────!」
この状態に少し困惑しながらも
ドキドキしている私が
思わずそう声を漏らすと
そこでハッとしたように
勇さんが手を離す。
そしてフイッと視線を逸らして
「悪い…。」と、小さく勇さんが謝った。
私は慌てて首を横に振りながら
彼の上から 体を退ける。
(──────び、ビックリした…。)
顔が近くて……何だか……
────まるであの遊園地の時のような
一瞬時が止まるような感覚に
陥りかけてしまった。
私はそんな気持ちをブンブン振り払って
自分を落ち着かせるように
静かに深呼吸をする。
それから
彼に改めて、Tシャツを渡した。
「わ、私 下にお皿返してきますね!
勇さんは着替えたら寝ててください!」
私は
結局この状況から一旦逃げるように
勇さんにそう告げると
先ほど洗ったお皿をトレーに乗せて
早足で勇さんの部屋を出る。
そして
パタンッ、とドアが閉まると同時に
体の力が フッと緩まった。

