「っ………おい……。」
「帰りません。こんな勇さんを
1人で放っとくなんて……私には出来ないです。」
体を倒した私の腕を
勇さんが弱々しく添えるように掴むが
私はそんな彼に
はっきりとそう言い返す。
だって勇さん
1人でいたら、きっと無理する。
いつもバイトと大学頑張って
私の面倒まで見てくれてるのに…
こんな時だけでも
ちゃんと、体を休めて欲しかった。
そんなことを考え
黙って勇さんを見る私を
勇さんの
ぼんやりした視線と
熱のせいで赤くなっている顔が
真っ直ぐ見上げてくる。
(………勇さん……。)
私は無意識に
心の中でそう彼の名前を呼んだ。
───今日くらいは、私に甘えてください。
そんなことを思いながら
勇さんのその視線に
私も真っ直ぐ返していると、
勇さんは
しばらく黙ってから
不意に───
フッ と、笑みをこぼした。
「……お前って…本当ずりィわ…。」
「…え…?」
そして勇さんはそうとだけ呟くと
優しい笑みを私へ向けて
少しだけ
体を起き上がらせた。
「ゆ、勇さ……。」
「それ……店長からのだろ?」
そして
机の上に置かれた
あのトレイを見てそう言い、
それを軽く指差す。
「……柑奈、食わして。」
「え?」
「……放っておけねェんだろ?」
そして
私にそんなことを言い始めて
甘く笑みを深めた。
熱で少し朧げな視線が
私に向けられる───。

