「じゃあよろしく頼んだ!柑奈ちゃん!」
「は、はい。いってきます。」
そして
店長さんからトレイを手渡され
私はそれを受け取り
ゆっくりと、お店を出る。
「階段気をつけてな〜!」
店長さんはそう言うと、
お店を開ける前に仕込みの確認をするため
厨房の奥へ戻っていく。
私は店長さんに断って、
紙袋だけを持って
鞄はお店に置かせてもらった。
(勇さん…風邪大丈夫かな……。)
わたしはそれ運びながら
申し訳なさを募らせる。
熱がどのくらい高いのかわからないけど
一人暮らしで体調を崩すのは
大変なんじゃないかと思う。
私はお母さんとかいるから
熱が出たら何でもしてもらえるけど…。
(勇さんは、そういうわけにはいかないもんなぁ…。)
私はそう思いながら、
階段の前で 少し立ち止まる。
(勇さんの風邪が、早く治りますように……!)
私は、手に持っているトレイの上の
おかゆやお味噌汁に向かって
そう願掛けでもするように、念じた。
そして慎重に慎重に…
少し急な階段を登る。
うぅ…昨日の自分に言ってやりたい…。
(私より勇さんを
先にお風呂へ入れていれば…。)
勇さん、ごめんなさい!と
登りきった後に、
再度 部屋の扉の前で そう心の中で謝る。
そして
コンコンッ──と
勇さんの部屋の扉を叩いた。

