(っ…、え…?!)
グイッ、と
体が引っ張られたかと思えば
私はそのまま
要くんと引き離されるようにして
人混みの中へ、連れ込まれる。
驚いて 咄嗟に振り返って
その腕の主を見上げれば───
「え……ゆ、勇さん…?!」
「………。」
腕で引っ張ったのが
勇さんだと分かって
私は思わず、頭を混乱させた。
何で急に 引っ張ったりなんか-----
「ゆ、勇さん!待ってください!
ちゃんと要くんに挨拶してないのに…!」
「………。」
「っ……勇さん…?」
様子がおかしい勇さんに
私はそう言って声をかけるけど、
まるで聞く耳を持たないというように
無言のまま、人混みの中を
歩き進んでいく。
……何か……怒ってる…?
(……何かこんなこと、前にもあった…。)
以前にも、遊園地に遊びに行った時に
勇さんがこうして
突然不機嫌になったことがあった。
…でもあの時は
『お腹が痛くて』と
別の理由があったみたいだけど…
(……勇さん、どうしたんだろう…。)
こんな風に
強引に腕を引っ張ったり、
何も言わずに無視したりすることは
今まで 1度も無かった。
…だから、余計に分からない。
「勇さん、どこに行くんですか?」
「………。」
「…勇さん……。」
何度、何を尋ねても
何も答えようとしない彼に
私は仕方なく、質問するのをやめて
そのまま歩き進める勇さんに
大人しく、ついって行った───。

