それによって
私は列から外れてしまい
思わず背後の勇さんを振り向くと
勇さんは小さく口角を上げながら
私を見ていて───
「そっちで待ってろ。
でももし変な奴が来たらこっち戻ってこい。」
いいな?、と
お兄さんらしい台詞を 私へ向けた。
どこまでも優しい勇さんに
私は心の奥が熱くなるのを感じながら
「はい。」と返事をして 頷く。
そして 言われた通り
近くのその座れるところがあるスペースに
身を寄せて、彼を待った。
(……何だか曇ってきたなぁ…。)
そしてふと
空を見上げて、そんなことを思う。
先ほどまでそんなに気になるような
天気ではなかったのに
何だか急に
悪くなってきたような気がする。
……雨、降らないで欲しいなぁ…。
そんなことを思いながら
空を見上げていると
不意に───
「───北澤!」
(─────!!)
流れるような人混みの中から
そう言って、私を呼ぶ声が聞こえた。

