───その人は やっぱり勇さんだった。
勇さんは私の姿を見つけると
何だか驚いたように
目を軽く見開いて
離れたその距離から 私を見つめた。
私も少し驚きながら
ゆっくり、
勇さんところへ歩いてく。
「……こ、こんばんわ……。」
「………あぁ。」
勇さんの前に立って
私が静かにそう挨拶をすると
勇さんは少し黙ってから 短くそう返した。
そして
壁に寄りかかっていた体を起こして、
私の方にきちんと向き直る。
しかし
勇さんはそう言いながらも
一向に私から視線を逸そうとしなかった。
(……??)
私はその視線に
どこか変なところでもあるのかと
心配になるけど
すぐに勇さんの言葉で
その心配が全て飛んだ。
「………良いな、浴衣。」
「!」
私を見つめながら
優しい笑みを浮かべて
そう言ってきた勇さん。
私はその言葉を聞いて
一気に───顔に熱を集めた。
─────心臓が、痛いほどに鳴る。
(……や、やばい……っ。)
すでにもう
心臓がもたない気がする。

