俺は携帯を耳に当てて
黙って 携帯から聞こえるコール音に
耳を傾ける。
……まだ、出ない。
(……つか、出てきたとこで何て言うよ。)
とりあえず今日のことを謝りたいが
正直に自分の今の気持ちを言うのは
気恥ずかしいし、気が引ける。
言ったら 変に混乱させそうだし
別にあいつの友人関係に
とやかく言いたいわけじゃねェ。
だとしたら、どうすれば───
そんなことを考えている間に
不意に
コール音が プチッと 音を立てて途切れた。
「……も、もしもし…?」
そして
電話越しに
遠慮がちなあいつの声が
静かに…耳に伝わる。
「あ………悪いな、突然。」
「い、いえ 全然…!
それよりあの、どうしました…?」
どこか心配そうな声色で
そう尋ねてくる柑奈。
俺はそんなあいつの声を聞いて
段々と
胸のモヤが薄れていく感覚がした。
───何でこうも、安心するんだ。
「……今日」
「え?」
「…今日、あんな態度取って悪かった。」
そして そんな柑奈の声を聞いて
俺は考えるより先に
素直にそんな言葉が出てくる。
電話越しの柑奈は
驚いたように少し黙ってから
「いや、そんな全然!」と
慌てた声を返してきた。
「全然あの、気にしないでください!
私が忙しい時に話しかけちゃっただけなので…!」
「いや、こっちが悪かった。」
ごめんな、と
俺が柑奈に謝ると
柑奈は、
電話越しでも
頭を振ってるのが想像つくような声色で
「いえいえ大丈夫ですよ!!」と答える。
そしてそのあと
何となくお互いに黙った。

