俺はそんなことを考えながら
帰る支度を済ませると
店長に挨拶をして
先に仕事をあがる。
そして足早に2階へ上がって
部屋に帰った。
───バタンッ、と
玄関の扉が閉まった音と同時に
背中をその扉にもたれかける。
(…………。)
ドアに寄りかかりながら
はぁ…、とため息を吐いて
目を瞑って下を向いた。
───本当に、最近の俺はおかしい。
「…………。」
そう思いながら
俺は目を開けて、顔を上げる。
そして
ほぼ無意識に、ズボンに入ってる携帯を
手元に取り出して
何となく…
電話帳の欄を 静かに開いた。
(………もう寝てっかな。)
俺は
画面に出された『北澤柑奈』の文字を眺めながら
そんな風に 心で独り言を呟く。
寝ていたのを起こすかもしれないが
俺はもう
そんなことを気にする余裕なく
衝動的に───通話のボタンを押した。
…せめて
今日の態度を謝っておきたかった。
あいつのことだろうから
きっと、気にしている気がするんだよ。
(───でも、それより)
………今は何となく、
あいつの声が聞きたかった。

