「離して欲しいですか?」

「当たり前じゃん!」

「じゃあ…」

と何か言いかけた先生。

「なに?」

少し強めの口調で聞く。

「物理は好きですか?」

は?さっき聞いたじゃんと思いつつ

「嫌いです」と答える。

「では…俺の事は嫌いですか?」

え、ちょっと待って何?

返答に困り無言になる。

「…やっぱり嫌いなのか。」

「そんな訳ないじゃん!」

そう心の中で言ったつもりが、口から洩ら

してしまった。そして、何を思ったのか

「山田先生のこと好きですよ」

なんて言ってしまった。

呆気にとられる先生。そしてやっと頬から

手を離した。

あーやらかしたなこれ。と心の中で何度も

反復する私。今すぐ自分を殴りたいくらい

だ。

「それは"教師"として?」

少しの沈黙の後、ここまで来たら言ってし

まえという気持ちと後戻りできない気持ち

を抱えつつ言った。

「私は山田先生を一人の男性として好きな     

 んです」