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それから1ヶ月が経った頃____

週に1回だけの山田先生の授業が終わった。

ほとんどの生徒が出て行った後、彩花と一

緒に物理室を出ようとした時、

「桜木」

と、私を呼ぶ声がした。

顔を見なくても分かる声の主は、山田先生

だ。

「はい、何ですかー?」

と言いながら振り返ると、

「来週テストだけど、大丈夫か?」

と言われた。

「へ?」なんてすっとぼけた様な返事をす

る。

「もし良ければ、今日の放課後教えてあげ

 てもいいけど」

と言われ彩花の方を見る。

ニヤニヤしながら「行ってきなよ〜」と言

われた。

「はぁー?まじ?」

嬉しかったけれど、この前の出来事を思い

出すと気が引けた。

ぶつぶつ言ってると

「決まりだな、品川も一緒にやるか?」

と聞かれる。

「私は大丈夫なんで、葉月のこと

 宜しくお願いしま〜す!」

なんて言いながら物理室のドアを勢い良く

開き走って行ってしまった。

あ、ヤバい。なんて思ったが時すでに遅

し。

追いかけようとした私の腕を山田先生が掴

んだ。

「ちゃんと放課後来いよ?」

耳元で囁かれ思わず赤面する。

気が付けば残っている生徒は自分以外いな

かった。

あまりの恥ずかしさに

「やばい。帰りのHR始まっちゃう!」

と言い逃げるように物理室を出た。

教室に向かっている途中もドキドキが止ま

らなかった。