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放課後、居残りのために物理室へと向か

う。

その足取りは軽くむしろ居残りでラッキー

なんて思う程だ。

物理室のドアの前に立つと大きく深呼吸し

た。

そして取っ手に手をかけたと同時に、ドア

が開いた。

数十センチ開いたドアの隙間から顔を覗か

せているのは紛れもなく山田先生だ。

「早く入れ」

と言い、身を翻すと黒板の前にあるキャス

ター付きの椅子に座った。

私は失礼しますと言いながら教室に入る 

と、黒板の目の前の席に座る。

特に話す内容も見つからず、

「先生、部活行かなくていいんすか?」

なんて聞いてみた。

因みに山田先生は陸上部の顧問だ。

すると、読んでいた難しそうな本を伏せ、

立ち上がったかと思うと私の前に立った。

「誰のお陰で行けないのかな?」

なんて皮肉を言われて、返す言葉がなくな

った。

まぁ山田先生をこうやって見てられてるか

らいいやなんて思ってしまう程、私は山田

先生に惚れてるんだと思う。