入学式が始まった。
緊張はやっぱりするものの、
これからの学校生活を考えれば胸が高鳴る。
「では今から教員の紹介を致します。」
すると舞台に先生たちが上がる。
1人ずつマイクを回して担当教科と一言を言っていく。
そして次にマイクが回ったのは、、
「白川先生ーーー!!!」
「かっこいいーー!」
「キャー!!」
女の子たちの黄色い歓声とともに、
白川さんの姿。
先輩たちだけではなく、新入生も興奮しているみたい。
本当に先生だったんだ…。。
にしても、すごい人気なんだなぁ。
静かに!!と他の先生の注意が飛ぶ。
「この度は入学おめでとうございます。
1年2組の副担任と英語を担当します。
よろしくお願いします。」
淡々と話す白川さん。
なんだか朝の白川さんとは違うようにも見える。
やっぱり先生だから見え方も違うのかな、、。
またしてもキャーと言う女の子たちの声とともに礼をする白川さん。
1年2組?、、、
わたしの副担任!?
こんなことってあるの!?
朝の白川さんの秘密という約束。。
ここまでの人気っぷりで、わたしの隣に住んでるなんて知られたら、、。
夜中まで外がうるさくなってしまう!!
毎晩布団に埋まって眠れない日々を送ってしまいそう、、。
それは絶対に避けたい、、。
何としてでも先生のプライベートな事は絶対口にしないようにしよう!!
「そこの生徒!着席しなさい!!」
注意する先生の声に驚き、
ハッと我に帰るとわたしは注目の的に。
みんなが座っている中わたしだけが立っている。
恥ずかしい〜〜、、
慌てて椅子に座った。
パッと白川さんを見ると笑っている。
はぁ、またドジをしてしまった、、。
入学式も終わり、教室に戻った。
朝出会った奈々とは奇跡的に同じクラスだった。
「また考え事してたんでしょ?」
奈々は可愛いなーと私に頭をポンポンとした。
「何かあったなら聞くよ?」
優しい奈々になぜか涙が出そう、。
一つも泣くことなんてないんだけど、
ドジばっかりでどうしようもない自分が、
嫌になってくる。
「考えるとボーッとしちゃって空回りしちゃうんだよね、、」
「大丈夫、大丈夫!美優はほっとけない感じだからみんなわかってくれるよ!」
励ましてくれる奈々に感動の眼差しを送る。
「あ、さっき注意されてた奴じゃん!」
クラスの男の子がわたしを指差した。
するとクラスのみんなも笑った。
ひぃー、、早速その事を言ってくるとは、、
恥ずかしくて下を向いてしまう。
「そこの男、うるさいんだけど!」
奈々が厳しく注意した。
奈々ちゃん男前っっ!!
「あっ、ごめんごめん。」
奈々ちゃんの顔を見て一気に顔を赤らめる男の子。
やっぱり男の子からモテるみたい。。
でも今の一言で女の子たちも一目置いている。
「奈々、ありがと...」
「全然、気にしないでよ。友達じゃん!」
奈々さん!一生ついていきますっ!!
すると先生たちが教室に入ってきた。
みんなは各自の席へと戻った。
やっぱりそこには白川さんと、おじいちゃんの担任の姿。
白川さんのことばかり頭にあって、担任の先生をちゃんと見ていなかった。。
「さっきも紹介したけど僕が君たちの担任の山口です、見ての通りみんなよりかなり年は上ですが、仲良くしましょう。」
優しい微笑みのおじいちゃん先生。
みんなが優しい笑顔になっている。
「僕は副担任を務めます。よろしく。」
笑顔なくまたしても淡々と言う白川さん。
「白川先生彼女いますか!?」
クラスの女の子からの急な質問。
クラスの女の子たちは食い入るように見つめる。
「秘密です。」
その言葉でさえ女子たちは興奮している。
男子たちは呆れているみたいだけど、、
秘密。。
白川さんは私が見た限り彼女はいる。
白川さんが言う2人だけの秘密って、
こーゆー事なのかな??
「じゃあ今からホームルーム始めるね。」
山口先生のゆるい入りからホームルームが始まった。
ちらっと白川さんを見ると、私の方に近づいてきた。
すると小声で、
「ぼーっとしないで聞くんだよ。」
と笑顔を見せた。
突然言われて耳まで赤くなる。
恥ずかしい。。
その様子を楽しむかのように笑う先生。
この先、緊張とドキドキでやっていけるか本当に心配です。。
