「・・・ッ・・・」

刺すような眩しい光に、思わずファロルは呻き、目を開けた。

「セキル・・・か」

フッとファロルは笑い、ふと右手を見た。
夢なのだ、所詮。
あるはずが無いのだ。
・・・しかし、右手には・・・

「・・・!!」

夢で見たものと同じ、十字架が刻んであった。
・・・それさえも夢なのかと思った。
あるいは、自分がおかしくなったのかと思った。
どうしようも無くなり、ファロルは目を擦った。
・・・そこには、何も変わっていない右手の十字架。

「・・・この十字架・・・」

よくよく見てみると、その模様をどこかで見たことがあるような気がして、ファロルは十字架に目を凝らした。
黒い十字架に、それを囲むようにした一回り大きい、紅い十字架が刻んである。

「・・・ダメだ、思いつかねぇ・・・」

ふぅ、と息をつきファロルは天井を仰いだ。
やがて少しして、ファロルは明かりを消し、気だるそうに立ち上がり、部屋から出て行った。