八……、八……、私……、八のこと……。
“好きだよ”なんて言えないから、唇をグッと噛む。
あんたのこと好きと言えたらどんだけ楽になれるのだろう。
あんたに好きと言えないから、今こんなにも苦しいんだ。
「……八……ごめんね……っ」
「林檎?急にどうしたの?」
あんたのこと、好きになってごめんね。
けど、この想いには蓋を閉じるから……。
お願い、あともう少しだけ八のそばにいさせて……。
サヨナラをいう日まで……。
「ちょ、林檎……っ」
「ごめんね……」
「林檎!」
その瞬間、温かい温もりを感じた。
そして、ほのかに香る八のにおい。
今……、私……、八に抱きしめられてる……?
「……泣かないでよ、林檎。 」
「な、泣いてなんか……っ、」
そう言った瞬間今まで溜めてた涙がポロポロと溢れ出した。
「涙、溜めてちゃダメだよ。林檎の涙は、これからもずっと僕が拭うから」
「……っく……」