八への恋心を自覚して、数週間がたった。
八とは相変わらずの関係。
八への恋心は、自覚したけど、それは伝えてはダメな思い。
だって、八は、王子様だから。
これからの未来を担う人だから。
八には、好きだって言わないって決めたんだ。
八には、きっと私よりか相応しいお姫様がいるはずだもん。
そもそも、私は、お妃様から逃げたんだ。
お妃様に立ち向かえない臆病な私。
けど、お妃様には捕まりたくはなかった。
だから、逃げた。
「……林檎?どうした?」
心配そうに私の顔を覗き込む八。
「……別に」
「もぉ、林檎ってば、つめたーい」
「……勝手に言ってれば?」
「……なんか、今日の林檎冷たい」
「は?私は、元からこーいう人間なんですけど」
つい、イラッとしてしまいイラッとさせる言動を言ってしまう。
「……いつもの林檎じゃない。
それに、林檎は僕にそんなに冷たくない」
「……八……」