もちろんそれはねえさんに対するアピールであって、その人は本当に私の父親になりたかったわけじゃないだろう。
それはわかってるけど。
(心が繋がっていることが大事……。
それってハルヒコ様とマジュの関係みたいなこと?
心が繋がっているから、血は繋がっていなくても2人は本当の親子……)
ならその娘に、父として自分が壊れるほどの愛情を注げたのは……。
彼が上層階級のお金持ちだったから?
……ちがう。
彼が、彼だったからだ。
優しくて、繊細で、誰よりも愛情深い人―――ハルヒコ・カンバラ。
(マジュ、あなたは、彼のそんなところに惹かれたの?)
ハルヒコ様の寝顔を見つめていると胸が締め付けられるような気がして、私は今度はマジュへと視線を向けた。


