(お疲れのようだから……とか、リラックスできるから旦那様も試してみて……とか切り出せば、不自然にならないかな……?)
そんなことを悩みながらタイミングを探していたのだけれど。
ハルヒコ様が眠っている今なら、気付かれずに彼に触れることができるだろうか。
私は気配を消してベッドのそばまで行くと、そこで眠るハルヒコ様の顔をそっと覗き込んだ。
(きれいな顔……)
ハルヒコ様の整った顔立ちは、眠っていても整っていてきれいだ。
優しい鳶色の瞳がまぶたの下に隠れている分、起きている時よりも寝顔の方が男性的に見えるかもしれない。
規則正しい呼吸の音……だけど、けして安らかな夢を見ているわけではなさそうだった。
眠りながらも、思いつめたように寄せられた眉。
そして、疲れをにじませた、どこか青白い顔色……。
今でも薬が手放せない、というトウジ様の言葉を思い出す。
(ああ、元気そうに見えても、やっぱりこの人は病んでいるんだ)
彼の苦しげな寝顔に、私はそのことを実感してしまう。


