相手をリラックスさせる、ストレスをやわらげる、という能力は、<グリーン>の能力の中では一番初歩的なものだ。
マジュに行っている治癒のように、時間や技術がとくべつ必要というわけでもない。
この三日間、私が目にするかぎりハルヒコ様は元気そうで、すぐに癒しが必要な状況になることはなかった。
だけど、目に見える形であらわれていないだけで、彼が心に不調を抱え続けているのは事実。
なら、マジュにしているように、毎日の日課として心を癒していった方がいいんじゃないだろうか。
その方が、いちいち彼が発作を起こすのを待つよりも効果があるんじゃないかな。
……そう考えていたのだけれど。
<グリーン>がその能力を発揮するためには、相手の身体に自分の手で触れていなければならない。
主人のハルヒコ様に対していきなりなれなれしくボディタッチするわけにもいかないし、
かといって、何もないのに「あなたを癒させてください」と申し出るのもでしゃばっている感じがする。
トウジ様が私に頼むと言った、という話は、私の主人がトウジ様でなくハルヒコ様である以上、私の口から話すべきことではないと思うし……。


