私の言葉に、トウジ様がホッと肩の力を抜くのがわかった。
「ありがとう、リイナ。……すまないね。
わかってはいるんだ。
これはハルヒコの心の弱さが招いたこと。
可哀想なのはあいつではなく、あいつを父に持ったマジュのほうだ。
だが……私はハルヒコの兄だ。
弟の苦しむ姿をそのままにしておくのは辛くてね」
「トウジ様のお気持ちはわかっています。
それに、私は<グリーン>としてこの家に引き取られました。
主人のハルヒコ様の苦しみを癒すのは、私の当然の役目ですから」
「君は本当に頼もしいな。……そうだ、リイナ、これを」
トウジ様はふと思い出したように上着のポケットを探り、長方形の黒い小箱を取り出した。
「このあいだ思わせぶりなことを言って混乱させてしまった詫びと、今日私の頼みを引き受けてくれたお礼だ。
このあいだ言ったとおりにアクセサリーを贈ろうと思ったんだが、やっぱり若い子の気に入るものを選ぶ自信がなくてね。
君は勉強熱心で読書家だと聞いたから」
言いながら、彼は小箱を私の前に置いた。
「子供っぽすぎて君の趣味じゃないかもしれないが、よかったら使ってくれ」
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