その時、お茶をお持ちしました、とメイドがワゴンを押してテラスに入ってきた。
私たちは何となく気まずい気持ちで黙ったまま白いテーブルにつく。
メイドたちが去ると、トウジ様は紅茶のカップを持ち上げながら苦笑した。
「紅茶よりスポーツドリンクでもがぶ飲みしたい気分だな」
「無理をなさらないでください。この家の方たちにとっては、辛いお話でしょう」
「ありがとう……さあ、君も飲みなさい。聞いている方だって疲れるだろう」
促され、私はティーカップを口に運んだ。
トウジ様は自分も紅茶で喉を湿らせると、再び話し始めた。
「―――マジュがああなってしまったことを、身内以外に誰に知らせるべきかという話し合いをしたんだ。
私と長兄夫婦が中心になってね。
そこで、マジュの実父のことに話題が及んだ。


