エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜


『血の繋がらないこの娘との間になら、間違いが起こっても不思議はない』


世間の人がそう考えるのも無理はないと……私は二人を信じていたくせに、世間の考えも否定出来なかったんだ。


私はハルヒコに提案した。

潔白を示すためにも、一度娘と距離を置いてみたらどうかと。

おまえにその気があるなら私はいくらでも相談に乗る、例えば、海外留学なんかはどうだ―――そう話を持ちかけた。

ハルヒコもそれがいいと考えたようで、すぐにマジュにその話をしたらしい。


―――それから数日後のことだ。


マジュが、この家の三階のバルコニーから飛び降りたのは」


え、と私は思わず声をもらした。

飛び降りた……自分から?

ハルヒコ様の口からは、事故だとしか聞かされていなかった。

じゃあ本当は、マジュは自殺をはかったってことなの?