マジュ本人も、ハルヒコと離れたくないと強く主張した。

お母様がいなくてもこの人は私のお父様だ、お父様と一緒にいたい、と。

そこまで言われれば、周囲が二人を無理矢理引き離すわけにもいかない。

そうしてハルヒコとマジュは、マリエのいないこの家で、親子として暮らし続けることを選んだんだ。

もともと仲の良い親子だったから、本人たちが望んで共に暮らしているなら、とくに問題はないように思えた。


……だが、そうは思わない人間もいるものだ。


そんな二人についてよくない噂がたったのは、マリエが亡くなって五年が過ぎた頃。

今から二年前のことだ」


二年前……。


私は続くトウジ様の言葉に耳をすませた。