「……っ!」
突然背中から掛けられた声に、身体がビクリと跳ねた。
勢いよく振り向くと、そこには―――目を丸くして私を見るハルヒコ様が立っていた。
こちらの勢いに驚いたらしく、若干のけぞっている。
「ああ、びっくりした……いや、先に私が驚かせてしまったんだね。悪かったね、リイナ」
「あ……いえ、私こそごめんなさい。全然気付かなかったものだから……」
まだ少しドクドクと鳴っている心臓を気づかれないように押さえながら、私はハルヒコ様に向かって笑顔を浮かべて見せた。
ハルヒコ様はそんな私の手元を、「おや」と覗きこんだ。
「懐かしいな、私たちが結婚したときの写真か。―――これ、どこにあったんだい?」
……え?
「どこって……旦那様がここに持ってきて広げたんじゃないんですか?」
私が尋ねると、ハルヒコ様は首を振る。
「いや、私じゃないよ。ここに来るのは4日ぶりくらいだし」
4日……なら、確かにハルヒコ様じゃない。
昨日私がこの部屋に来た時には、カウンターには何も置いていなかったんだから。


