『 お父様へ
私のお父様になってくれてどうもありがとう。
ハルヒコ様みたいなすてきなお父様ができるなんて夢みたい。
マジュはお母様に負けないくらいお父様のことが大好き。
お父様の自慢の娘になれるように、これからたくさんがんばるね――― 』
それは、マジュがハルヒコ様に宛てた手紙だった。
(『お父様になってくれてありがとう』……)
やっぱり、そうだったんだ。
マジュは奥様の連れ子。
ハルヒコ様とのあいだに、血の繋がりはない。
アルバムに書いてある日付けは十年前のものだ。
奥様が亡くなったのは七年前のはず。
じゃあ、マジュはこの家の娘になってたった三年で母親を亡くし、それからずっと血の繋がらない父親に育てられて―――
「―――何をしているんだい、リイナ」


