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蛍石の表紙の鉱石図鑑は、探すまでもなくすぐに見つかった。
屋根裏の書庫に上がり、まず荷物を置こうと窓辺に近づいたところで、カウンター机の上に置かれているその本が目に入ったのだ。
(なんでこんなところに?)
部屋に持ち帰っていないなら、きちんと棚に戻したはずだ。
こんなところに置いた記憶はまったくない。
それに。
カウンターに置かれていたのは、私が読もうとしていた図鑑だけではなかった。
(記念写真の……アルバム?)
扉紙を開いた状態で、それはそこに置かれていた。
額縁におさまった絵画のように台紙にはめ込まれた、大判の写真。
たぶん、ここにこのアルバムを広げた誰かが、図鑑も棚から持ってきて一緒にここに置いたんだろう。
誰か……なんていっても、私以外にこの部屋を利用するのはハルヒコ様しかいないはずなのだけれど。


