エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜





***




―――どういう意味、なんだろう。




自分の部屋に帰ってから、私はずっとそれを考え続けていた。

ベッドに寝転びながら、すでに何度もめくってみた冊子をもう一度めくってみる。

若者向けアクセサリーの会社のカタログのように言いながら、トウジ様から手渡されたそれ。

気付かないまま受け取ったけれど……それは男性用の高級腕時計のカタログだった。

表紙にはっきりと腕時計の写真が使われているから、たぶん、間違えて渡したわけじゃない。

そもそもお土産の話自体がカモフラージュだったんだろう。

私に手渡せるなら何でもよかったのだ。

不自然にならないように、私に耳打ちできる瞬間を作るために。