エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜


それに……彼らがプロだと感じる理由はもう一つ。


『園』からもらわれてきた私に対して―――それも、一目で〈エメラルド〉ではなく〈リーフ〉だとわかる私に対して、誰も差別や嫌悪感を持った態度で接してはこなかったこと。


正直、いじめられるのくらいは覚悟していたのだけど。

もちろん、新参者の私に対して距離感はある。

心の中では私をよく思わない人だっているだろう。

だけど、態度に出す人はいない。

みんな親切に私の世話を焼き、自分の仕事をまっとうしている。

だから……そう、だから、私だって彼らを見習わなきゃ。

主人の家庭の事情を詮索することなんか考えていないで、自分の役目を果たすことに集中しなきゃ……。


……少し外の空気を吸って、気持ちを切りかえよう。


そう思って、私は廊下からサンルームへ入り、そこからバルコニーへと出た。