そのひとつひとつの行動に、しぐさに、そして鳶色のまなざしに。
娘に対する無償の愛があった。
この人が父親だったなら幸せだろうと思わせるような、確かな親の愛情が……。
（それを手に入れられなかった私だから、わかる）
この人はどこまでも父親だ。
娘に欲望を抱くなんて、あるはずがない。
あるはずが……。
（でも、マジュが実の娘じゃないとしたら？）
私が想像していたよりもずっと近かった父娘の年齢差が、余計な疑惑を心に生む。
ハルヒコ様は私にマジュがどんな娘かを話してくれるけれど、そういえばまだマジュが実際は何歳なのかを聞いていないから、実は彼女が私より年下なこともありえる……いや、さすがにないか。
それでも、若くして親になる人だっている。
それはわかっているけれど……。
そんな疑問をハルヒコ様本人にぶつけるわけにもいかない。
使用人の人たちやルイさんに聞くのもだめだ。
彼らはきちんとした教育を受けてからこの屋敷で働いている。
主人のプライバシーについては、同じ屋敷で暮らすものにも不用意に口外したりしない。
